手汗ボトックスは痛い?ブロック麻酔と当日の流れを皮膚科専門医が解説

読了目安 約6分 監修:下方 征 医師(皮膚科専門医)

手汗ボトックスは、しっかりと効く麻酔をしないと、非常に痛いです。手のひらは神経が多く、ワキや顔より痛みに非常に敏感な部位だからです。正直なところ、麻酔クリームや氷で冷やすだけでは手のひらの痛みを十分に抑えられず、ほとんどの方にとって、治療として受けるのは難しいと考えています。

そのため渋谷スクランブル皮膚科では、皮膚科専門医の下方 征 医師がエコー(超音波で体の中を画面に映す機器)で神経の位置を確かめながら手首に「ブロック麻酔」を行い、手のひら全体の感覚をなくしてから注射します。

この記事では、手のひらが痛みを感じやすい理由、当院でのブロック麻酔の実際と費用、当日の流れ、注射のあといつから手を使えるかを、皮膚科専門医・下方 征院長の監修のもとで解説します。

この記事の結論
  • ・麻酔をしない場合、手のひらは神経が多いため、手汗ボトックスはワキや顔より痛みを感じやすい注射です
  • ・当院では、下方医師がエコーで神経の位置を確かめながら「ブロック麻酔」を行い、痛みを感じない状態で注射をします(片手8,000円)
  • ・麻酔の注射そのものにも痛みはありますが、採血と同じくらいの、少しチクッとする程度です。麻酔の効き方には人によって差がありますが、当院ではほとんどの方が、しっかりと麻酔の効果を実感されています
  • ・麻酔をした手は1〜2時間ほど動かしにくくなるため、運転や手を使う予定は入れずにお越しください
目次
  1. 手汗ボトックスとは?手のひらに注射して汗を抑える治療
  2. 手汗ボトックスは痛い?手のひらが痛みを感じやすい理由
  3. 痛みを抑える「ブロック麻酔」とは?
  4. 当日はどんな流れ?診察からご帰宅まで
  5. 注射のあと、手はいつから使える?
  6. 両手を同じ日に受けられる?
  7. 渋谷スクランブル皮膚科の手汗ボトックス(料金と注意点)
  8. よくある質問
この記事の監修者
監修医師 下方 征

下方 征しもかた ただし

日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/渋谷スクランブル皮膚科 院長

経歴をみる

2004年に医師免許取得後、東京医科大学病院皮膚科に入局。同大学病院にて助教を務めるなど、10年以上にわたり大学病院で皮膚科の診療・研究・教育に従事。八王子医療センターでの地域中核病院勤務を経て、2022年に渋谷スクランブル皮膚科を開院。一般皮膚科のみならず美容皮膚科領域においても学術的根拠に基づいた診療を行っている。

01 手汗ボトックスとは?手のひらに注射して汗を抑える治療

手汗ボトックスは、手のひらにボトックスを注射して、汗を出す指令を止める治療です。

汗は、神経から汗腺(汗を出す小さな器官)へ「汗を出せ」という信号が届くことで出ます。ボトックス(ボツリヌストキシン製剤)は、この信号の受け渡しを一時的に止める薬です。効果は注射の1〜2週間後から出はじめ、平均で4〜6か月ほど続きます(続く期間には個人差があります)。

手のひら全体に効かせるため、細い針で何か所にも分けて注射します。この「何か所にも」が、痛みを感じやすい理由のひとつです。

02 手汗ボトックスは痛い?手のひらが痛みを感じやすい理由

麻酔をしない場合、手汗ボトックスは、ワキや顔のボトックスより痛みを感じやすい注射です。そのため渋谷スクランブル皮膚科では、ブロック麻酔で手のひらの感覚をなくしてから注射します(麻酔の方法は次の章で説明します)。

手のひらが痛みを感じやすい理由は、次の2つです。

  • ・神経が多い:手のひらや指先は、物にふれた感覚を細かく感じ取る場所です。そのぶん、痛みにも敏感です
  • ・注射する回数が多い:手のひら全体に薬を行き渡らせるため、何か所にも分けて注射します。海外の研究では、片手を20か所に分けて注射しています

出典:Saadia D, et al. Neurology. 2001

ワキにも複数か所に注射しますが、ワキは手のひらほど感覚が鋭くありません。当院では、ワキはご希望に応じて麻酔クリームを併用し、手のひらにはブロック麻酔を行っています。ワキの痛みについては、ワキ汗ボトックスは痛い?痛みを抑える3つの工夫で解説しています。

03 痛みを抑える「ブロック麻酔」とは?

ブロック麻酔は、手首のあたりで、手のひらに向かう神経の近くに麻酔薬を注射し、手のひら全体の感覚を一時的になくす方法です。歯医者さんで打つ麻酔のように、麻酔をした先がしびれたような状態になります。

日本皮膚科学会のガイドラインでも、手のひらの注射の痛みを抑える方法の一つとして、このブロック麻酔(神経ブロック)が挙げられています。

渋谷スクランブル皮膚科のブロック麻酔:エコーで神経の位置を確かめます

当院のブロック麻酔は、皮膚科専門医の下方 征 医師が、エコーで手首の神経の位置を確認し、その周囲に麻酔液が広がるのを確認しながら行います。麻酔薬を神経のすぐそばに届け、麻酔をしっかりと効かせるためです。

麻酔の注射は痛い?

麻酔そのものも注射なので、打つときには痛みがあります。ただ、針を刺すのは2〜3か所と非常に少なく、痛みは採血と同じくらいです。

麻酔が効きにくいことはありますか?

麻酔の効き方には、人によって差があります。当院では、エコーを使って麻酔をしっかりと効かせ、手のひらの感覚がなくなった(消失した)ことを確認してから、ボトックスの注射を打っています。注射の途中で痛みを感じたら、遠慮なくお伝えください。

なお、ボトックスの薬に麻酔を混ぜて痛みをやわらげる方法については、麻酔入りボトックスなら痛くない?で解説しています。

下方医師
下方医師
当院にいらっしゃる患者様からは、「以前、麻酔クリームだけで手のひらにボトックス注射を受けて、とても痛かった。それ以来、次の注射に踏み出せなかった」というお話を伺うことがあります。当院では手首のブロック麻酔で手のひらの感覚をなくしてから注射しており、継続して治療を受けられている方も多くいらっしゃいます。痛みが心配な方は、まずは診察でご相談ください。

04 当日はどんな流れ?診察からご帰宅まで

当日は、診察 → お会計 → ブロック麻酔 → 注射 → ご帰宅の順で進みます。

  • 1診察・カウンセリング:医師が汗の状態を診察し、薬の量(単位数)と麻酔についてご説明します
  • 2お会計・準備:先にお会計をしていただき、その間に準備をします。麻酔のあとは手が使いにくくなるため、お手洗いは先に済ませておきましょう
  • 3ブロック麻酔:下方医師がエコーで神経の位置を確かめながら手首のあたりに麻酔をし、手のひらの感覚がなくなるまで待ちます
  • 4注射:細い針で、手のひら全体に細かくボトックスを注射します。指先は汗が出やすい部分なので、しっかりと注射します。麻酔が効いているため痛みはほぼなく、安心して受けていただけます。両手を同じ日に治療できます
  • 5ご帰宅:注射のあとは、麻酔が切れるのを待たずにお帰りいただけます。手は1〜2時間ほど動かしにくいため、お荷物は少なめがおすすめです

麻酔が効くまでの時間もかかるため、時間に余裕をもってご来院ください。

05 注射のあと、手はいつから使える?

ブロック麻酔をした手は、1〜2時間ほど動かしにくくなります。麻酔が切れれば、普段どおり手を使えます。注射のあとは、次の点に気をつけてください。

  • ・当日の予定:麻酔が切れるまでは、車や自転車の運転、手を使う作業は控えてください
  • ・お風呂:当日からシャワーを浴びられます。湯船につかるのは翌日からにしてください
  • ・マッサージ:注射した部分を強くもむのは、2〜3日控えてください
  • ・内出血:注射した部分に点状の内出血の跡が残ることがありますが、数日で目立たなくなります

また、注射後の数週間は、握力や指先でつまむ力が一時的に弱まることがあります。

06 両手を同じ日に受けられる?

両手を同じ日に治療できます。多くの方が、両手を同じ日に治療することを希望されます。ただし、両手にブロック麻酔をすると、1〜2時間ほど両手とも動かしにくくなります。

荷物を持つ、スマートフォンを操作する、ドアを開けるといった動作もしにくくなります。ご家族に付き添ってもらう、帰りの手段を決めておくなど、事前に準備しておくと安心です。片手ずつ別の日に治療する方法もありますので、診察でご相談ください。

07 渋谷スクランブル皮膚科の手汗ボトックス(料金と注意点)

当院の手汗ボトックスは自由診療(保険適用外)で、片手33,000円(50単位)からです。ブロック麻酔は、片手8,000円が別にかかります。

片手50単位
韓国製(ボツラックス)33,000円
アラガン社製(ボトックス)44,000円
片手100単位
韓国製(ボツラックス)66,000円
アラガン社製(ボトックス)88,000円
片手150単位
韓国製(ボツラックス)88,000円
痛みを抑える麻酔
ブロック麻酔(片手)エコーで神経の位置を確かめながら、手首のあたりに麻酔をします8,000円

料金は片手あたりです。ブロック麻酔の料金は薬の料金とは別にかかります。両手の場合は2倍になります。

薬の量(単位)の選び方

汗の量が多い方には、片手100単位をおすすめしています。研究でも、手汗が重い方では、少ない量(片手60単位)では十分な効果が得られず、量を増やすと効果が長く続いたと報告されています。

量を増やすと、効果が続く期間(平均4〜6か月)も長くなることが期待できるため、長く効かせたい方にも100単位をおすすめしています。片手100単位で効果が足りなかった方には、150単位を打つこともできますので、ご相談ください。150単位の料金は、韓国製のボツラックスで88,000円です。

出典:日本皮膚科学会 原発性局所多汗症診療ガイドライン2023

渋谷駅から徒歩1分、平日は20時まで診療しているため、お仕事帰りにも通いやすい環境です。

当院では、手汗ボトックスを「汗止め注射」というメニュー名でご案内しています。WEB予約では、汗止め注射のメニューから「手のひら」をお選びください。

リスクと治療を受けられない方

次のようなリスクがあります。

  • ・注射した部分の点状の内出血の跡(数日で目立たなくなります)
  • ・握力や指先でつまむ力の一時的な低下(ペットボトルのふたなどが、初めの数週間は開けにくいことがあります)
  • ・ブロック麻酔によるもの:麻酔の注射時の痛み、内出血、しびれが長引くこと、まれに神経障害や麻酔アレルギーのリスクがあります

ボツリヌス製剤に特有の、まれなリスクについては、記事の最後にある注意事項をご覧ください。

次の方は、治療を受けられません。

  • ・妊娠中・妊娠している可能性のある方、授乳中の方
  • ・ボツリヌストキシンにアレルギーのある方
  • ・重症筋無力症と言われたことのある方

麻酔薬にアレルギーのある方は、事前に医師にお伝えください。

▶ 汗止め注射のWEB予約(24時間受付)

Q&A よくある質問

Q.ワキのボトックスと比べて、どのくらい痛いですか?

ブロック麻酔をしない場合、手のひらは神経が多いため、ワキより非常に強い痛みを感じます。手のひらにブロック麻酔を行えば、ワキのボトックスよりも痛みを感じずに受けていただけます。

Q.手のひらに麻酔クリームは使えませんか?

ワキのボトックスは麻酔クリームを塗ってから行うこともありますが、手のひらは皮膚が厚く、麻酔クリームが簡単には浸透しない部位です。そのため、クリームを塗ってから注射しても、痛みは十分には軽減しません。当院にも、麻酔クリームだけで手のひらの注射を受けてつらかった、というご相談を多くいただきます。当院では、手のひらには麻酔クリームではなく、エコーで神経の位置を確かめながら行うブロック麻酔を用いています。

Q.注射のあと、腫れや内出血は出ますか?

注射した部分に点状の内出血の跡が残ることがありますが、数日で目立たなくなります。当日からシャワーを浴びられますが、注射した部分を強くもむのは2〜3日控えてください。

Q.ブロック麻酔の費用はいくらですか?

片手8,000円で、ボトックスの料金とは別にかかります。両手の場合は16,000円です。

参考文献

  1. 日本皮膚科学会 原発性局所多汗症診療ガイドライン 2023年改訂版(日皮会誌 133(13):3025-3056, 2023)
  2. Saadia D, et al. Botulinum toxin type A in primary palmar hyperhidrosis: randomized, single-blind, two-dose study. Neurology. 2001;57(11):2095-2099.
  3. 米国FDA BOTOX(onabotulinumtoxinA)添付文書
  4. 米国FDA LETYBO(letibotulinumtoxinA-wlbg)添付文書(2024年)
  5. 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ – 厚生労働省

料金について:記事内の料金はすべて税込(2026年9月時点)です。片手33,000円(50単位)からの料金は、韓国製・国内未承認のボツラックスを使用した場合です。

未承認医薬品等に関する注意事項(適応外使用を含む)

当院で行う手汗ボトックスは、自由診療(保険適用外)です。当院では、国内承認薬であるアラガン社製ボトックスと、韓国製の未承認医薬品であるボツラックスをご用意しています。手のひらへの使用は承認された効能・効果に含まれないため、どちらの製剤でも適応外使用にあたります。

  • ・未承認である旨: ボツラックスは、国内において医薬品医療機器等法上の承認を受けていない未承認医薬品です。国内承認薬とは異なり、我が国において品質・有効性・安全性の審査を受けたものではありません。
  • ・入手経路: ボツラックスは、当院医師の判断と責任のもと、個人輸入により入手しています。個人輸入に関する注意事項は、厚生労働省のページをご確認ください。アラガン社製ボトックスは、国内で承認された製剤を国内の医薬品卸から購入しています。
  • ・国内の承認医薬品等の有無: ボツラックスと同種同効の国内承認医薬品として、アラガン社製ボトックスがあります。ただし国内には、手のひらの多汗症を効能・効果として承認されたボツリヌス製剤はありません(手のひらの多汗症に承認されている国内の医薬品には、塗り薬のアポハイドローションがあります)。
  • ・部位に関する適応外使用: 国内承認薬のボトックスで多汗症について承認されているのは、重度の原発性腋窩多汗症(ワキ)です。手のひら(手掌多汗症)への使用は、どちらの製剤でも適応外使用にあたります。
  • ・諸外国における安全性等: ボツラックス(一般名:レチボツリヌストキシンA)は、韓国の食品医薬品安全処(MFDS)の承認を取得しています。同じ成分の製剤は米国でも2024年に承認されていますが、承認された効能は眉間のしわの改善です。アラガン社製ボトックスも、米国で多汗症について承認されているのはワキのみです。手のひらの多汗症はどちらの製剤でも承認されておらず、情報が不足しているため、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。
  • ・主なリスク: 内出血・腫れ・痛み・アレルギーのほか、ボツリヌス製剤に特有のリスクとして、注射した部位の近くの筋力低下(指先の力が入りにくくなるなど)があります。また、まれに、注射した部位から離れた場所に薬の作用が広がり、脱力、ものが二重に見える、飲み込みにくいなどの症状が出ることが報告されています(米国の添付文書の警告)。
  • ・救済制度: 未承認医薬品を用いた治療、および承認薬であっても適応外使用に該当する治療は、医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

▶ 汗止め注射のWEB予約(24時間受付)

お問い合わせ:渋谷スクランブル皮膚科(東京都渋谷区神南1-23-13 丸大ビル7階)
電話 03-6712-7375