粉瘤(ふんりゅう)

粉瘤(ふんりゅう)とは、アテロームとも呼ばれ、もっともよく見られるできものの1つです。治療は切除が基本で、くりぬき法という小さな穴から中身を取り出す方法もあります。いずれも保険診療で治療可能です。

粉瘤(ふんりゅう)はどのような症状ですか?

a.初期段階の症状

初期段階の粉瘤(ふんりゅう)は小さなしこりとして皮膚上に現れ、触ると硬さを感じます。この段階では痛みはないことが多いです。中央には黒い小さな点が見られることがあります。

b. 進んだ段階の症状

粉瘤が大きくなることがありますが、皮膚表面が一時的に盛り上がったり、痛みや赤みを伴うこともあります。中央からニオイのする排出物が出ることがあります。こういった強い炎症を伴っている場合には、抗生物質の内服や場合によっては少し中央を切って中の膿をだす必要があります。

粉瘤(ふんりゅう)の診断と検査は?

多くはみためで診断がつきます。見た目でほぼ診断は可能です。顔や首、耳周り、胸、背中、腕、おしり、太ももなど体のいたる部位にできます。でき始めは皮膚の下にふれる数ミリ大のできもので、しこりとして自覚されます。徐々に大きくなり、2〜3cm程度まで大きくなることがあります。感染が生じると急に大きくなり、痛みや腫れを伴うのが特徴です。
切除の治療を行う際には、必ず病理組織検査という検査を施行し、粉瘤(ふんりゅう)であるか診断をつけることが可能です。

粉瘤(ふんりゅう)はどのように治療しますか?

基本の治療は、メスでの切除になります。注射の麻酔を行い、痛くない状態にしてから、小さく切るます。切除は外来で日帰りで実施可能です。炎症がとても強い場合には完治治療の切除はできません。注射の麻酔を行い、痛くない状態にしてから、まずは炎症を抑えるために小さな切れ目をいれて中の膿をだします。

粉瘤のくりぬき法について

粉瘤の炎症をとりながら再発防止の切除をする治療で、保険適応の切除治療の1つです。

粉瘤の中央に4ミリほどの穴をあけ、その小さな穴から粉瘤の原因となっている袋状の組織と内包物をとりだします。治療後は1週間ほどで傷跡は自然に閉じるため、縫合の必要はありません。患者様に負担の少ない治療法で、当院でも可能です。顔や首、腕などの皮膚の厚みが少ない部位の粉瘤で行うのがお勧めです。

切除(手術)の方には、スムーズにご案内できる時間帯で予約をとりますので治療希望の方は、お電話で予約ください。切除希望ではない方は、通常の診療時間内に受診いただければ抗生剤の処方など対応可能です。

顔の黒いイボ・脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)

脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)とは、老人性イボとも言われ、年齢を重ねると増える良性のできものの一つです。顔や首などの紫外線が当たりやすい部位に多くみられます。茶色から黒色の小さなできもので、一見ほくろやシミのようにも見えます。40歳代から増え始め、徐々に大きくなり、数も増えてくるのが特徴です。
どのような症状が見られますか?
顔や首を中心にみられる褐色から黒色のできものです。顔や首などに多いですが、日光が当たりにくい部位にもできることがあります。でき始めは数ミリ大のできもので、顔のざらつきとして自覚されます。徐々に大きくなり、2〜3cm程度まで大きくなることがあります。表面はざらざらとしており、盛り上がってくるのが特徴です。通常はかゆみや痛みなどの症状はありませんが、盛り上がっている部位が擦れることにより炎症を伴う場合もあります。良性のできものであり、必ずしも治療の必要はありませんが、年齢とともに少しずつ大きくなり目立つようになります。

脂漏性角化症の診断と検査は?

多くは見た目で診断がつきます。見た目だけでは分かりにくいものも、ダーモスコーピーという拡大鏡を用いることにより、診断が可能です。黒いできものの中には、基底細胞癌や悪性黒色腫などの悪性腫瘍もあるため、気になるものがあればご相談ください。
万が一悪性などを疑う場合は、皮膚生検という検査を施行し、診断をつけることが可能です。

どのように治療しますか?

良性のできものであり、必ずしも治療の必要はありません。しかし、徐々に数が増え、目立つようになるため、整容面で治療を希望されることが多いです。また、盛り上がっている部位が擦れて炎症が起きてしまうことがあり、その場合は治療により症状が改善されます。治療としては、液体窒素による冷凍療法、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)、手術療法などがあります。大きさや部位、予算など含めてご希望を聞きながら、治療法を決めていきます。

液体窒素療法

保険適応であり、他の治療と比較して簡便な治療です。場合により周囲に色素沈着を残すことがあるため、顔や首よりも体幹部などの脂漏性角化症などに良い適応と思われます。
1〜2週間程度に繰り返し来院して頂き、徐々に小さくいきます。

炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)

自費での治療になります。局所麻酔をした後に、レーザーによりできものを削りとる治療です。周囲に炎症を起こすことは少なく、病変部を選択的に治療する事ができ、余計な色素沈着を起こしにくいため、傷がより目立たない治療法です。顔や首周りのイボに関しては、傷あとの少ない炭酸ガスレーザーでの治療が望ましいと思われます。また、一度の照射で治療が終わるため、早く治したい方にもおすすめの治療です。詳細は下記リンクをご覧ください。

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ほくろ(色素性母斑、母斑細胞性母斑)

一般にほくろと呼ばれるものは、医学的には色素性母斑や母斑細胞性母斑などと呼ばれ、母斑細胞という細胞が増える良性の出来ものです。生まれつきあるものや、成長途中で現れてくるものなど様々です。
ほくろは、はじめは平坦ですが、徐々に隆起するようになります。顔では丸く膨らむことが多く、体ではいぼのように膨らむことが多いです。

ほくろの診断と検査は?

ダーモスコーピーという拡大鏡を用いることにより、診断が可能です。黒いできものの中には、基底細胞癌や悪性黒色腫などの悪性腫瘍もあり、鑑別が必要です。
ダーモスコピーで悪性を疑う所見が見られた場合は、皮膚生検という検査を施行し、診断を確定することが可能です。

どのように治療しますか?

良性のできものであり、必ずしも治療の必要はありません。しかし、徐々に大きくなることがあり、整容面で治療を希望されることが多いです。
治療としては、手術による切除や炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)での切除などを行います。部位や大きさなどから手術痕が少ない方法をご提案いたします。

手術による切除は保険適応となりますが、炭酸ガスレーザーの場合は一般的には自費診療となります。レーザーの料金は以下となります。

治療内容価格(税込)
3mm未満11,000円
3mm以上 5mm未満16,500円
5mm以上22,000円

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稗粒腫

目のまわりを中心に顔面にできる小さく(直径1〜2mm程度)、白いぶつぶつです。小児でみられる場合は自然に消えることもありますが、成人にできたものは自然に消えることは少ないため、見た目を気にされ受診される方が多いです。

稗粒腫の診断と検査は?

白ニキビや汗管腫、脂腺増殖症などの顔にできやすい良性のできものと鑑別が必要になります。見た目での診断が可能ですが、はっきりしない場合はダーモスコーピーという拡大鏡を用いて診断する場合もあります。

どのように治療しますか?

保険治療としては、注射用の針で稗粒腫の表面を刺して穴をあけ、ピンセットなどでつまむことで内部の角質を除去する事ができます。
しかし、袋状の部分が残って、しばらくすると再発することがあります。再発を予防するため、内容物を除去した後に、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)で処理する事で、袋自体を取り除く事ができます。数が多い方や再発が気になる方は、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)での治療がお勧めです。

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汗管腫

下眼瞼にできる米粒大程度のできもので、思春期以降の女性に好発します。肌の色と同じような色調や、やや黄色っぽい色調を呈する事が多いです。痒みや痛みなどの症状などはありません。稀ですが、腋窩や外陰部などにも生じる事もあります。

診断はどのようにしますか?

白ニキビや稗粒腫、脂腺増殖症などの顔にできやすい良性のできものと鑑別が必要になります。見た目での診断が可能ですが、はっきりしない場合はダーモスコーピーという拡大鏡を用いて診断する場合もあります。

どのように治療をしますか?

良性のできものであり、特に症状を伴うことも少ないので治療の必要はありませんが、整容面で治療を希望される方が多いです。
当院では、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)で治療を行います。局所麻酔を行った後、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)でできものを蒸散させて取り除いていきます。治療後の傷は1〜2週間程度で、上皮化します。

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脂腺増殖症

中年以降に好発する皮膚の良性のできもので、額や頬、鼻の周囲にみられる2~6㎜ほどのやや黄色調~白色の結節です。男女にみられますが、男性に多いといわれています。顔面の毛穴に開口する脂腺が成熟して、ブドウの房状に増殖して発生するとされています。

診断はどのようにしますか?

他のできものと同様に見た目で診断が可能です。ダーモスコピーという拡大鏡で表面を観察する事で、他のできものとの鑑別ができます。

どのように治療をしますか?

炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)で、治療をおこないます。局所麻酔を行った後、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)でできものを蒸散させて取り除いていきます。液体窒素による冷凍凝固療法で小さくする治療もありますが、完全に取ることは難しいため、レーザー治療がおすすめです。

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炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)とは?

炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)は、イボやホクロ、皮膚のできものをピンポイントで除去する医療用レーザーです。

特徴

  • 出血が少なく、短時間の処置で治療できます。
  • 周りの⽪膚組織にほとんど影響を与えず、⽬的のものだけを除去できます。
  • 真⽪を残して治療が⾏えるので、ほとんど跡が残りません。

適応

顔や首の周りの気になるイボやほくろにお勧めです。
具体的な疾患としては、ほくろ、イボ(脂漏性角化症、尋常性疣贅)、稗粒腫、汗管腫、首イボ(アクロコルドン)などです。

処置の流れ

  1. 除去したいできものを確認し、患部をマーキングします。
  2. 周囲に局所麻酔の注射を行います。
  3. レーザーを当てて、腫瘤の組織を蒸散させます。
  4. レーザー照射部がやや陥凹した傷になるため、傷の治りを促進させる貼付剤で保護をします。
  5. 自宅でも適宜処置を行います。
  6. 1〜2週間程度で傷は塞がります。肌質や傷の深さにより、赤みが続くことがありますが、数ヶ月で徐々に薄くなります。

料金

ほくろ

治療内容価格(税込)
3mm未満11,000円
3mm以上 5mm未満16,500円
5mm以上22,000円

いぼ(陰部、手足以外)

治療内容価格(税込)
1mmごと2,200円