肌育注射(医師による手打ち)とは?種類・効果・選び方を皮膚科専門医が解説
肌育注射とは、シワを物理的に埋めるのではなく「肌の土台を育てる」ことを目的とした注入治療の総称です。スキンブースターとも呼ばれ、近年さまざまな製剤が登場しています。本記事では、肌育注射の種類・期待できる効果・デメリット・料金相場・選び方のポイントを、皮膚科専門医の監修のもとでわかりやすく整理します。
目次
01 肌育注射とは?「シワを埋める」から「肌を育てる」へ
肌育注射とは、有効成分を注射で肌に届け、肌そのもののコンディションを内側から整えていくことを目的とした注入治療の総称です。「スキンブースター」と呼ばれることもあり、両者はほぼ同じ意味で使われています。
肌質改善を目的とした注入治療を広くまとめた呼び名、と捉えるとわかりやすいでしょう。
従来からよく知られているヒアルロン酸注入は、ほうれい線などのシワやくぼみに製剤を注入し、その厚みでシワを物理的に持ち上げる治療です。一方で肌育注射は、シワを直接埋めることを主目的とはせず、肌の土台である真皮のうるおいやハリ感といったコンディションそのものに働きかけることを目指す点が大きく異なります。
「ボリュームを足す」発想ではなく、「肌を育てる」発想の治療といえます。

そのため、深く刻まれたシワを一度で目立たなくするといった即効性を狙うものではなく、複数回かけて少しずつ肌質の変化を目指していくのが一般的です。乾燥が気になる、キメが乱れてきた、肌全体のハリ感が落ちてきたといった、いわゆる「肌質側」の悩みを持つ方に検討されやすい治療です。

02 肌育注射の主な種類(成分で4タイプに整理)
肌育注射は製剤名で語られることが多いのですが、選ぶうえで大切なのは「どんな成分でできているか」です。主成分の違いで大きく分けると、PN系・ポリ乳酸系・ヒアルロン酸系・アミノ酸系の4タイプに整理できます。
代表的な製剤を成分軸で並べると、次のようになります。
| 分類 | 代表的な製剤 | 主成分・由来 | 特徴の方向性 |
|---|---|---|---|
| PN系 | リジュラン/プルリアル | ポリヌクレオチド(サーモン由来のDNA断片など) | 肌の土台のコンディションに着目したタイプ |
| ポリ乳酸系 | ジュベルック/オリディア | PDLLA(ポリ乳酸)+ヒアルロン酸 | コラーゲン産生を促すことを目指すタイプ |
| ヒアルロン酸系 | プロファイロ/Redensity 1 | 高分子+低分子のハイブリッド型ヒアルロン酸 | うるおいの土台づくりに着目したタイプ |
| アミノ酸系 | スネコス | アミノ酸+非架橋ヒアルロン酸 | 複数の成分を組み合わせた複合タイプ |
なお、当院で取り扱うプルリアル デンシファイはPN系に分類されますが、PNに非架橋ヒアルロン酸とマンニトール(抗酸化作用が報告される成分)を組み合わせた複合設計になっている点が特徴です。PN系の代表格であるリジュランとの違いについては、プルリアルとリジュランの違いを徹底比較でくわしく解説しています。
当院では、肌悩みや目的に合わせて次の3系統から製剤をお選びいただけます。PN系はプルリアル、ポリ乳酸系はオリディア、ヒアルロン酸系はRedensity 1(リデンシティⅠ)で施術が可能です。
| 分類 | 当院で施術可能な製剤 |
|---|---|
| PN系 | プルリアル |
| ポリ乳酸系 | オリディア |
| ヒアルロン酸系 | Redensity 1(リデンシティⅠ) |

成分だけでなく「注入方法」にも種類がある
肌育注射は、製剤(成分)の違いに加えて「どうやって注入するか」でも分かれます。主な注入方法は次の3つです。
- 水光注射(機械打ち): 複数の針が付いた専用マシンで、広範囲に一定の深さ・量を注入する方法。
- ニードルレス注入(空気圧式): 針を使わず、空気圧のジェット噴射で製剤を導入する方法。
- 医師による手打ち: 医師が細い針で1か所ずつ、肌の状態を見ながら深さ・量を調整して注入する方法。
本記事で扱っているのは、このうち医師による手打ちの肌育注射です。注入方法によって使用できる製剤・使用量・料金水準が異なるため、施術やクリニックを比較する際は「どの注入方法か」をあわせて確認することが大切です。
03 肌育注射に期待できる効果
肌育注射は肌の土台のコンディションに働きかけることを目指す治療のため、次のような変化が期待できるとされています(感じ方や程度には個人差があります)。
- ハリ・弾力感: 肌全体がふっくらと整い、ハリ感が出ることが期待できます。
- うるおい: 乾燥しがちな肌のうるおい感が高まることが期待できます。
- キメ・毛穴: キメが整い、毛穴の目立ちにくさにつながることが期待できます。
- 透明感: 肌のコンディションが整うことで、明るい印象が期待できます。
PN(ポリヌクレオチド)を用いた注入については、目元の若返りを目的としてヒアルロン酸注入と比較した臨床研究(左右の顔で比べるsplit-face試験)が報告されており、皮膚の弾力や水分量の改善が示されたとされています。
製剤ごとに期待できる方向性が異なるため、ご自身の悩みに合うかどうかは診察で確認することが大切です。
04 肌育注射のデメリット・注意点
肌育注射には期待できる面がある一方で、受ける前に理解しておきたいデメリットや注意点もあります。メリットだけでなく、次のような点もあわせて把握しておきましょう。
- 複数回の通院が前提: 多くの製剤は数週間おきに数回受ける設計です。1回で完結する治療ではありません。
- 即効性を狙う治療ではない: 注入直後に劇的に変わるというより、数週間かけて少しずつの変化を目指すものです。
- ダウンタイムがある: 内出血・腫れ・赤み、注入直後の小さな膨らみ(ぼこつき)などが起こる場合があります。多くは数日程度で落ち着くとされますが、個人差があります。
- 国内未承認の製剤が多い: 肌育注射に使われる製剤には国内未承認のものが多く、その場合は医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。当院では、正規のルートで製剤を仕入れ、リスクとアフターフォローまで丁寧にご説明したうえで施術を行っていますので、安心して治療に臨んでいただけます。
注入治療である以上、内出血・腫れ・赤み・痛み・かゆみといった反応が生じる可能性があり、まれにしこり・色素沈着・感染・アレルギー反応が起こることもあります。また、妊娠中・授乳中の方、注入部位に感染や炎症がある方などは受けられない場合があります。
これらのリスクや適応については、施術前に医師から十分な説明を受け、納得したうえで判断することが大切です。

05 肌育注射の料金相場と当院の料金
肌育注射の料金は、製剤の種類・使用量・施術範囲・クリニックの方針によって幅があり、一律ではありません。一般的には1回あたり数万円から十数万円程度が一つの目安とされますが、これはあくまで幅のある相場感であり、実際の費用はカウンセリングで確認することが大切です。
なお、肌育注射は自由診療(保険適用外)です。
多くの製剤は複数回の施術が前提となるため、1回ごとの料金だけでなく「コース全体でいくらかかるか」「1回あたりに換算するとどうか」という視点で見ることをおすすめします。参考までに、当院プルリアル デンシファイの料金は次のとおりです。
当院のプルリアル デンシファイ(医師による手打ち)の料金
| メニュー | 料金(税込) |
|---|---|
| 顔全体 1回 | 126,000円 |
| 顔全体 3回コース | 340,200円(1回あたり113,400円) |
| 頬 1回 | 70,000円 |
| 頬 3回コース | 189,000円 |
麻酔などのオプションは別途費用がかかります。プルリアル以外の肌育注射(オリディアなど)の料金は、当院の料金表ページでご確認いただけます。
06 肌育注射の選び方3つのポイント
製剤の種類が多い肌育注射では、「どれを選ぶか」で迷う方が少なくありません。選ぶうえで押さえておきたいのは、次の3つのポイントです。
ポイント1: 成分と目的が合っているか
製剤はそれぞれ成分が異なり、得意とする方向性も異なります。たとえばうるおいの土台づくりに着目したタイプ、コラーゲン産生を促すことを目指すタイプなどがあります。ご自身の一番の悩みと、製剤が目指す方向性が合っているかを確認しましょう。
これは自己判断が難しい部分なので、診察での見極めが重要になります。
ポイント2: 皮膚科専門医の診察を受けているか
肌の状態は一人ひとり異なり、悩みの原因も多様です。場合によっては肌育注射より別の治療が向くこともあります。皮膚科専門医による診察を受け、肌の状態や悩みの原因をふまえたうえで治療を選ぶことが、満足につながりやすくなります。
ポイント3: 無理なく続けられる料金計画か
肌育注射は複数回・継続的に受けることを前提とした治療です。1回あたりの料金だけでなく、コース全体やメンテナンスまで含めて、無理なく続けられる計画かどうかを確認しておきましょう。費用面で不安がある場合は、部位を絞るなどの選択肢を診察で相談することもできます。
07 当院の肌育注射「プルリアル デンシファイ」

渋谷スクランブル皮膚科では、肌育注射としてプルリアル デンシファイを取り扱っています。プルリアル デンシファイは、PN(ポリヌクレオチド・サーモン由来)に非架橋ヒアルロン酸とマンニトールを組み合わせた複合設計の製剤で、肌の土台のコンディションづくりに着目した注入治療です。
製造元はルクセンブルクのMD Skin Solutions SARL(1999年創業)で、欧州CEマークを取得していますが、日本国内では未承認の医薬品等にあたります。
施術は注入のみで、メスを使いません。約4週間間隔で3回程度を一つの目安とし、顔全体(目の際・口の際を除く)のほか、首・デコルテ・手の甲などにも用いられます。当院では、日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医が、肌の状態を診たうえで適応や施術内容をご提案します。
当院の肌育注射は、水光注射などの機械打ちではなく、すべて医師による手打ちで行います。この方法には次のようなメリットがあります。
- 製剤を十分量しっかり注入できる: 機械打ちで起こりうる薬液のロス(液漏れ)が生じにくく、規定量の製剤を無駄なく肌に届けられます。
- 肌の状態に合わせて量を細かく調整できる: 気になる部位には手厚く、慎重に扱うべき部位には控えめに、と医師が肌を診ながら1か所ずつ注入量・深さを調整します。
- ダウンタイムに配慮した注入深度: 皮膚の浅い層(皮内)に注入して蚊に刺されたような膨らみ(膨疹)を顔全体に残す打ち方も知られていますが、当院では真皮と皮下の境界の深さを狙って注入します。この深さへの注入では膨疹が長く残りにくく、ダウンタイムを抑えることが期待できます(個人差があります)。
製剤の詳細や施術の流れはプルリアル デンシファイの専用ページでご確認いただけます。


Q&A よくある質問
Q.肌育注射は1回で効果がありますか?
肌育注射の多くは、数週間おきに複数回受けることを前提に設計されています。1回でも変化を感じる方もいますが、一般的には回数を重ねて少しずつ肌質の変化を目指す治療です。効果の感じ方には個人差があるため、回数や見通しは診察でご相談ください。
Q.肌育注射は何回くらい必要ですか?
製剤によって異なりますが、約4週間間隔で3回程度を一つの目安とするものが多いです。その後はメンテナンスとして定期的に受ける方もいます。最適な回数は肌の状態や目的により異なるため、診察で計画を立てることをおすすめします。
Q.肌育注射は痛いですか?
注入時にチクッとした痛みを感じることがあります。痛みの感じ方には個人差があり、不安な方には麻酔をご用意できる場合があります(別途費用)。詳しくはカウンセリングでご相談ください。
Q.肌育注射とエステの違いは何ですか?
肌育注射は医療機関で医師が行う注入治療で、有効成分を肌の内部に直接届けます。一方エステは医療行為ではなく、肌表面へのケアが中心です。注入を伴う肌育注射は医療機関でのみ受けられる点が大きな違いです。
Q.肌育注射はどんな人に向いていますか?
乾燥やハリ感の低下、キメの乱れなど、肌質側の悩みが気になる方に検討されやすい治療です。ただし悩みの原因によっては別の治療が向くこともあります。向き不向きは肌の状態により異なるため、皮膚科専門医の診察で確認することをおすすめします。
参考文献
- Pluryal公式サイト(MD Skin Solutions SARL)
- Comparison of the effects of polynucleotide and hyaluronic acid fillers on periocular rejuvenation – PubMed
- The Effectiveness of Polynucleotides in Esthetic Medicine: A Systematic Review (J Cosmet Dermatol, 2025)
- 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ – 厚生労働省
本記事で紹介するプルリアル デンシファイは、国内において医薬品医療機器等法上の承認を受けていない未承認医薬品等を用いた自由診療(保険適用外)です。
- ・入手経路: 当院医師の判断と責任のもと、個人輸入により入手しています。
- ・国内の承認医薬品等の有無: 同一の成分・組成からなる国内承認医薬品等はありません。
- ・諸外国における安全性等: 欧州CEマークを取得し欧州を中心に使用されていますが、注入治療に共通するリスク(内出血・腫れ・しこり・感染・アレルギー等)が生じる可能性があります。
- ・救済制度: 個人輸入された未承認医薬品等は、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。




