「じんましんとは? どのような症状ですか?」


じんましんは、皮膚に突然に赤い盛り上がり(これを「膨疹(ぼうしん)」と言います)ができて、一つ一つの膨疹(ぼうしん)は通常、数時間以内に形が変わったりして消えていきます。まれに半日から1日くらいまで続くこともあります。症状がでている間は強いかゆみを伴って、チクチクとした刺激感として感じられることもあります。表面がガサガサしたり、同じ大きさ・形の発疹が何日も続くようでしたらじんましんではなく、湿疹・皮膚炎などの違う皮膚の病気が考えられます。赤い皮膚の盛り上がりの大きさは数ミリ程度のものから融合して体全体に見られるものまでさまざまです。赤い盛り上がり(膨疹(ぼうしん))の形は、円形、線状、地図状などいろいろな形になります。

「じんましんはなんで生じるのですか?」


皮膚の血管の周りにいる肥満細胞(マスト細胞)と言う細胞が、物理的な刺激、食べ物、運動、寒冷・温熱、日光、ストレス、薬剤、感染、概日リズムなどによって活性化されるとヒスタミンなどの顆粒が放出され、血管がその成分に反応して赤い盛り上がり(膨疹(ぼうしん))を生じます。またヒスタミンはかゆみ神経も刺激するため強いかゆみも生じます。

「じんましんにはどのような種類のものがありますか?」


じんましんの原因にはいろいろなものがあり、じんましんの種類としては下記にあげるものがあります。しかし、これらは必ずしも別々に起こるのではなく、同じ人に二つ以上のタイプのじんましんが同時に関係していることもあります。

  1. 急性・慢性じんましん: ほとんどのじんましんがこの種類に入ります。毎日のように繰り返し症状が現れ、1ヵ月以内に終息するものを急性じんましん、発症して1ヶ月以上続くものを慢性じんましんと呼びます。数日~数週間以内に症状がおさまる急性じんましんは風邪(感冒)、咽頭炎、胃腸炎などの感染をきっかけとしてみられることもあります。
  2. 物理性じんましん: 摩擦、圧迫、寒冷・温熱、紫外線などの物理的な刺激によって生じます。
  3. アレルギー性じんましん: 食べ物(エビ、カニ、ソバ、果物)、昆虫(ハチなど)、ラテックス(接触じんましん)、薬などに含まれるアレルゲンと呼ばれる特定の物質に反応して起こるじんましんです。
  4. コリン性じんましん: 入浴や運動などで汗をかいたときに現れるじんましんです。皮膚に生じる一つ一つの盛り上がり(膨疹(ぼうしん))の大きさが数ミリ程度と小さいのが特徴です。小児から若い大人にみられることが多いです。発汗障害や後天性無汗症を合併していることもあります。
  5. 不耐症(ふたいしょう)(イントレランス):アスピリンなどの非ステロイド系消炎鎮痛薬、色素、造影剤、食品中のサリチル酸などによって生じるじんましんです。
  6. 血管性浮腫(ふしゅ)(クインケ浮腫(ふしゅ)): 唇やまぶたなどが突然腫れて、2~5日かかって消える特殊なじんましんです。通常、かゆみは伴いません。まれにC1インアクチベーターという遺伝子異常による遺伝性のものもあります。

「食物が関係するじんましん、食物アレルギーにはどんなものがありますか?」


食物が原因となるじんましんは、大きく分けてアレルギー性のものと非アレルギー性のものがあります。アレルギー性(食物アレルギー)のものとしては、エビ、カニ、ソバ、果物、ピーナッツ、大豆、鶏卵、牛乳などが多く、これらの食品に含まれるアレルゲンがIgEを介して皮膚の肥満細胞(マスト細胞)を刺激して活性化することによってじんましんを生じます。また、特定の食物アレルギーが花粉と関連していることも知られていて、例えばカモガヤなどのイネ科の花粉にアレルギーがある人には小麦やメロン、スイカ、トマトなどのアレルギーと関連していることが報告されています。特定の食品を食べると摂取するたびに必ずじんましんが現れるのがアレルギー性じんましんの特徴です。皮膚のじんましんの症状に加えて、まぶたや唇も腫れて、呼吸困難、血圧低下、意識障害の症状を生じるアナフィラキシーショックを起こすことがあり、ときに死に至ることもあり注意が必要です。
一方、サバやアジのような青魚、肉類、タケノコ、ほうれん草などで生じるじんましんは、中にはアレルギー性のものもありますが、通常、食品中に含まれるヒスタミン様物質が直接血管に働いたり、またはヒスタミンを遊離させやすい成分が含まれていることによって起こります。このタイプの非アレルギー性のじんましんは、同じ食品を食べても材料やその日の体調などによって症状が出たり出なかったりする傾向があります。

「アレルギー性じんましんの検査はどんなものがありますか?」


アレルギーを起こす可能性のある物質(食品、花粉など)に対する特異的IgEを定量化して測定できる血液検査を施行して参考にすることができます。当クリニックでも行っておりますのでご相談ください。

「じんましんの治療」


じんましんの治療は、原因や誘因を探し、それらを取り除く、または避けるようにすることが大事です。しかし、実際にははっきりとした原因がなく出現する特発性のじんましんも多く、そのようなじんましんには飲み薬(内服)による治療が有効です。治療には、じんましんの症状を起こすヒスタミンの作用を抑える抗ヒスタミン薬または抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬を使います。また、重症なじんましんではステロイドの内服も短期間に限定して使用することもあります。

「生活で気を付けることはありますか?」


疲労やストレスは、じんましんの誘因や増悪因子となりやすいのでできるだけ避けるように心がけていただくことが大切です。また、食物や寒冷・温熱、紫外線、物理的刺激など原因がわかっているじんましんの場合には生活の中で避けていただくことが重要です。摂取する魚介類や肉類はアレルギー性でないじんましんでも鮮度によってじんましんを生じることがありますので、できるだけ新鮮なものをとることをお勧めします。