ブイタマークリームの効果と副作用|「ステロイドを使わない」アトピー・乾癬治療の新しい選択肢

2024年登場の新薬「ブイタマークリーム(一般名:タピナロフ、通称ブイタマー)」。ステロイドとも既存薬とも異なる「第3の選択肢」として注目されています。「本当にステロイドなしで症状をコントロールできるの?」「副作用のニキビや頭痛が心配」という疑問に、皮膚科医の視点で率直にお答えします。

この記事の執筆者
執筆医師

下方 征(しもかた ただし)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
渋谷スクランブル皮膚科院長

2004年に医師免許取得後、東京医科大学病院皮膚科に入局。同大学病院にて助教を務めるなど、10年以上にわたり大学病院レベルの皮膚科診療・研究・教育に従事。八王子医療センターでの地域中核病院勤務を経て、2022年に渋谷スクランブル皮膚科を開院。「日本美容皮膚科学会総会」にて最優秀ポスター賞を受賞するなど、一般皮膚科のみならず美容皮膚科領域においても学術的根拠に基づいた診療を行っている。また、労働衛生コンサルタントの資格を有し、働く世代の皮膚トラブルや産業保健分野にも精通している。

ブイタマークリーム(タピナロフ)とは?「守り」と「攻め」を両立する新メカニズム

ブイタマークリームは、ステロイド成分を含まない新しい外用薬です。「AhR(芳香族炭化水素受容体)調整薬」という新規の作用機序を持ち、1本で2つの役割を果たします。

  • 攻め(抗炎症):
    炎症を引き起こすサイトカイン(IL-4, IL-13, IL-17など)を抑制し、赤みや痒みを鎮めます。
  • 守り(バリア修復):
    肌の潤いに必要なタンパク質「フィラグリン」や「ロリクリン」を作り出し、弱った皮膚バリアを修復します。

単に炎症を抑えるだけでなく、肌本来の力を引き出す点が最大の特徴です。

ステロイド・コレクチムとの違いは?(強さと使い分け)

既存の薬との主な違いは「皮膚バリアへの作用」と「副作用の種類」です。

特徴 ブイタマークリーム ステロイド コレクチム
作用 抗炎症+バリア修復 強力な抗炎症 抗炎症
皮膚への影響 報告されていない 長期で薄くなるリスク 報告されていない
主な副作用 毛包炎、頭痛 皮膚萎縮、血管拡張 ニキビ、感染症

ステロイドのような即効性は劣るものの、皮膚が薄くなる副作用がないため、長期間の「維持療法」に適しています。

神田医師

ステロイドの副作用を恐れて塗布量を減らし、症状が長引く患者さんが少なくありません。ブイタマーは皮膚が薄くならないため、安心してたっぷり塗布でき、良好な結果が得られるケースが増えています。特に顔周りの治療において、長期使用できる有力な選択肢です。

気になる副作用①「毛包炎(ニキビ)」はなぜ起きる?

臨床試験において、最も多く報告された副作用が「毛包炎(適用部位毛包炎)」で、頻度は約17%です。

  • 症状:
    赤いポツポツとしたニキビのような発疹。
  • 原因:
    薬が効いていく過程で皮膚環境が変化し、一時的に毛穴に炎症が起きやすくなると考えられています。
内山医師

毛包炎は「コントロール可能」な副作用です。当院でも抗生物質の塗り薬を一時的に併用することで、ブイタマークリームを中止せずに治療継続できている方が9割以上です。「副作用が出たら即中止」ではなく、うまく付き合いながら肌質改善を目指せます。

気になる副作用②「頭痛」とその他の注意点

塗り薬では珍しい副作用ですが、アトピー性皮膚炎の治験では約11〜13%の方に頭痛が報告されています。

  • 頭痛:
    使い始めに起きやすく、体が慣れると消失することが多い一過性のものです。心配な場合は鎮痛剤を併用しても問題ありません。
  • 接触皮膚炎(かぶれ): 塗った場所がかゆくなったり赤くなったりすることがあります(乾癬で約14%)。

また、妊娠中の方は有益性がリスクを上回る場合のみ使用、授乳中の方は授乳の中止を検討する必要があります。

アトピー・乾癬への効果|「バリア機能修復」がもたらすメリット

ブイタマークリームは、アトピー性皮膚炎や乾癬で減少している「フィラグリン」等の発現を促します。これにより、以下のメリットが期待できます。

バリア機能修復によるメリット

  • 皮膚バリア機能の「頑丈さ」が復活する
  • 肌本来の「保湿力」が高まる(天然保湿因子の増加)
  • 肌のpHバランスが整い、細菌感染を防ぐ
  • 「痒み」の悪循環(イッチ・スクラッチ・サイクル)を断つ

薬価(費用)と発売日について

2024年6月に承認され、保険適用となっています。


薬剤費の目安(5gチューブ1本あたり)

  • 全額(10割):約1,355円
  • 3割負担: 約410円
  • 1割負担: 約140円

※2024年薬価基準(270.90円/g)に基づく計算です。
※上記は薬剤のみの価格です。診察料、処方箋料、調剤料などが別途かかります。

従来のジェネリック医薬品よりは高価ですが、生物学的製剤(注射)などに比べると経済的な負担は抑えられます。また、自治体の「こども医療費助成制度」などの対象となる場合は、実質負担なし(または少額)で処方可能です。

当院の治療方針|ブイタマークリームをおすすめする人・しない人

当院では、患者さんの肌状態に合わせてブイタマークリームを処方します。

おすすめする人

  • ステロイドの量を減らしたいが、やめるとすぐ悪化する方。
  • 顔や首など、皮膚が薄い部分の症状が続く方。

慎重に検討する人

  • ジュクジュクした激しい炎症がある方(まずはステロイドで鎮静させます)。
  • 妊娠中・授乳中の方。
下方医師

「長年ステロイドを使っているけれど、やめると悪化する」「これ以上強い薬は使いたくない」という悩みに応えるため導入しました。ステロイドとの併用や維持療法で、「薬を塗らなくても調子が良い日」を1日でも多く増やすお手伝いができると確信しています。

よくある質問 (FAQ)

  • 顔や首にも塗れますか?
    はい。皮膚が薄くなる副作用がないため、デリケートな部位にも適しています。ただし、目や口の周り、粘膜(唇など)は避けて塗布してください。
  • 何歳から使えますか?
    アトピー性皮膚炎の場合は12歳以上が対象となります。
  • 1日何回塗ればいいですか?
    1日1回です。お風呂上がりなどに塗布してください。
  • 症状が良くなったらやめていいですか?
    自己判断での急な中止は再発を招きます。医師の指示に従い、徐々に減らすことを推奨します。
  • 誤って目に入った場合は?
    直ちに水で洗い流し、違和感があれば眼科を受診してください。

参考文献

  1. PMDA
    添付文書 – ブイタマークリーム